解説
『ステウンスの崖壁』は、デンマークの首都コペンハーゲンの南45kmほどの海岸沿いにある崖壁=写真=です。約15kmにもわたって続く白亜質の崖壁では、約7,200万~6,200万年前までの地層を見ることができるため、地球の歴史を知る上での貴重な場所となっています。
貴重な点は、メキシコに落ちた隕石の影響をこの崖壁で見ることができることです。約6,500万年前、メキシコのユカタン半島のあたりに「チクシュルーブ隕石」と呼ばれる小惑星が激突しました。この時の衝撃で灰や土が巻き上げられ、恐竜などの大型爬虫類をはじめとする地球上の生物の約50%が死滅したと考えられるほど大きなものでした。この灰や土が、メキシコから遠く離れた地球の裏側に位置するステウンスにも降り積もりました。そのため、ステウンスには滅びた動植物の化石が完全な形で残る地層がつくられたのです。ユカタン半島に残るチクシュルーブ・クレーターの地層が地下にあるのに対し、ステウンスでは地上にあるため、研究が行いやすいとされています。