解説
世界遺産委員会では、新しく世界遺産に登録する遺産を決めるだけではなく、危機に直面している危機遺産を決めたり、すでに世界遺産に登録されている遺産がしっかりと保護されているかどうか報告を受けたりします。2016年の世界遺産委員会では、7つの遺産が危機遺産になり、1つの遺産が危機遺産から脱することが出来ました。2019年の世界遺産委員会前までで、危機遺産には54件が登録されています。
2016年の世界遺産委員会では、『キレーネの考古遺跡』などリビアの世界遺産5件すべてが危機遺産になりました。その理由は、国内の紛争による被害が大きく、遺産の周辺で今でも武装勢力が力をもっているため遺産の保護が難しいということでした。同じく危機遺産に登録されたマリの『ジェンネの旧市街』も同じような理由でした。紛争はいつも世界遺産の保護・保全にとっても大きな敵だといえます。
太陽神アポロンが愛した泉の精霊にちなんだ名前をもつキレーネは、長い歴史の中で地震や津波などの被害をうけてきましたが、紛争などでこれ以上ひどい被害を受けないように守っていきたいですね。