解説
ウズベキスタン共和国のブハラは、中世の中央アジアの様子を現在によく伝える交易都市です。1世紀ごろからシルクロードを行き交う人々にとって重要な都市でしたが、9~10世紀にかけてイスラム教の国であるサーマーン朝の首都となると大きく繁栄しました。この時代、ペルシア語による文化活動の中心地でもありました。
10世紀初頭にサーマーン朝2代イスマーイールが父のために建てたイスマーイール廟は、中央アジアに残る最も古いイスラム建築です。13世紀にはモンゴル帝国の支配を受け、街は大きく壊されてしまいました。しかし、カラーン・モスクのミナレット(イスラム教の塔)などは、あまりに美しかったためモンゴル帝国のチンギス・ハンが壊すのを思いとどまったというエピソードが残されています。
また、ウズベキスタンはかつて、旧ソ連の中に含まれる共和国だったため、旧ソ連の方針に従って宗教などを否定していましたが、貴重なイスラム建築や歴史的な街並みは残されました。