解説
ヨーロッパ大陸には小さな国がいくつかあります。そのひとつのアンドラ公国は、フランスとスペインの国境にはさまれたピレネー山脈東側の谷間にある小さな独立国です。国家元首を、フランスの大統領とスペインのウルヘルの司教が共同で務める、少し変わった国でもあります。そのアンドラ公国にひとつだけある世界遺産が『マドリウ・パラフィタ・クラロー渓谷』です。
渓谷には雄大な氷河や断崖絶壁など厳しい大自然が広がっています。その一方で、700年以上もの間、自然環境に合わせて暮らしてきた人々の集落や段々畑、牧草地、石畳の道などのほか、13世紀に作られた鉄の精錬所などが残っており、人と自然が共存している「文化的景観」の価値が認められています。近代化した都市とは違った、山岳文化や暮らしなどを感じることが出来る場所です。
アンドラ公国の国土は、金沢市とほぼ同じ大きさの468平方kmしかなく、日本で一番大きな高山市の約5分の一ほどです。世界遺産にはその国土の約9%が登録されています。