解説
オーストラリア大陸の西岸にある『シャーク湾』は、世界最大の海草藻場(海草が密生している場所)であり、その海草を食べて生活する絶滅危惧種のジュゴンの最大の生息地としても知られています。ジュゴンは、人魚のモデルになったともいわれる海生哺乳類です。
シャーク湾で最も特徴的なのが、ハメリン・プールに群生するストロマトライトです。ストロマトライトは、19億年前に光合成(太陽のエネルギーと水から酸素などを作り出す植物の反応)を始め、現在の地球の大気を作り出した原核生物の子孫と考えられています。ストロマトライトそのものは、藍藻類など微生物の集合体で、日中に光合成を行い、夜に海中の砂などを取り込んで固まることを繰り返してドーム型に成長してきました。現在でも成長を続けながら群生していますが、成長のスピードは遅く、一年に数mm程度しか成長しません。
シャーク湾にはジュゴンのほかにも、ミサゴやアジサシなど230種の鳥類や、マンタをはじめとする323種の魚類が生息しています。