解説
アフリカ中西部にあるニジェール共和国のほぼ真ん中に、アイールの山地の一部とテネレ砂漠からなる総面積約7万7,000平方kmの『アイールとテネレの自然保護区群』はあります。サハラ砂漠の南にそびえる標高2,000mのアイール山地から、砂地に岩が点在する中間地帯をすぎて、保護区の5分の3を占めるテネレ砂漠につながっています。この辺りは、11月から2月は0度を下回るほど冷え込む反面、3月から6月にかけては最高気温が50度にも達します。
現在は厳しい砂漠地帯ですが、かつては熱帯雨林におおわれ、「緑のサハラ」と呼ばれるほど豊かな土地でした。紀元前5500年から前2000年頃に描かれたと考えられる壁画には、現在この辺りでは見られないゾウやキリン、ヒツジの祖先であるムフロンなどが描かれています。
現在でもトゥアレグ族がこの地で生活していますが、特別保護区に指定されたことで狩猟や伐採が禁止されたため、彼らの生活手段が奪われてしまい内戦に発展してしまいました。そのため密猟対策などが出来ておらず、現在では危機遺産になっています。