解説
英国中部の都市リヴァプールは、17世紀に商業の中心地として急成長し、18世紀には三角貿易の拠点として栄えた港湾都市です。三角貿易とは、英国と西アフリカ、西インド諸島の植民地を三角形に結ぶ貿易のこと。英国から繊維製品や武器を西アフリカに送り、そこで奴隷と交換して奴隷を西インド諸島の植民地で売って、そのお金で買った砂糖や綿花などを英国本国にもち帰ります。
リヴァプールには、今でも当時の面影を残す造船所や倉庫、港湾事務所などが残っており、全6地区が世界遺産に登録されています。
リヴァプールは、あの有名なザ・ビートルズの出身地としても有名ですが、最近では経済的な発展から取り残され失業者が増えていることが問題となっていました。そこで、ウォーターフロントの開発計画を立てて街並みを再開発し、経済を活性化させようとしましたが、その計画が歴史都市としての景観や歴史そのものを損ねてしまうとして、2012年に危機遺産に登録されました。その後、開発が進められたため、2021年の世界遺産委員会で、世界遺産リストから削除されました。