解説
バルカン半島にあるオフリド湖の北東岸に位置するオフリドは、この地域だけでなく東ヨーロッパ全体にとって重要な文化の中心地であったと考えられています。7~9世紀にかけて、聖クリメントが考案したとされるキリル文字や書法、教育、スラヴ文化などが各地に広まっていったためです。9~13世紀には、東方正教会の中心地のひとつとして発展しました。
オフリド湖は、マケドニア最高峰のふもとにあり、ロシアのバイカル湖などと並んで世界最古の湖のひとつです。バルカン半島で最も水深が深いだけでなく、透明度が高く冬でも凍結しないため、他の地域では絶滅した水生生物なども生息しています。
オフリドとはスラヴ語で「切り立つ岩の上」という言葉を語源としています。湖畔に建つ聖ヨハン・カネオ聖堂のほか、スラヴ地域最古の聖パンテレイモン修道院など貴重な宗教施設が残されてきましたが、14世紀にオスマン帝国領となったときに壁画が塗りつぶされ、その修復などが進められています。