解説
教会や修道院の内壁だけでなく外壁にも描かれたフレスコ画には、キリストの受難と復活といった聖書の物語の他に、オスマン兵が農民を襲う様子や火に焼かれるターバン姿の人々など、度重なるオスマン帝国との戦争の姿も描かれ、当時のオスマン帝国に対する人々の恐怖がキリストの受難と共鳴しているかのようでもあります。
モルドヴァ公国は15世紀半ばから16世紀にかけて最盛期を迎えました。キリスト教信仰の篤かったシュテファン大公らは、イスラム教のオスマン帝国からの攻撃を退ける度に修道院や教会を建造したため、数多くのキリスト教建造物が造られました。外壁にまで美しいフレスコ画が描かれているのは珍しく、ビザンツ美術の宝庫とも呼ばれています。