解説
中世アラビア都市の面影を残すサナアは、『旧約聖書』の「ノアの箱舟」物語に登場するノアの息子セムが建設したという伝説が残り、「マディーナット・サーム(セムの街)」とも呼ばれています。紀元前10世紀頃から乳香交易で栄え、エチオピアやビザンツ帝国、オスマン帝国に支配されながらも、独自の文化を発展させていきました。
サナアの旧市街は100以上のモスクやミナレットの他に、6000棟以上もある高層住宅が特徴で、中には50mに及ぶ高さのものや9階建てのものもあります。鉄筋などは一切使われておらず、花崗岩や玄武岩でできた土台に「アドベ」と呼ばれる日干しレンガを積み上げ、防水や窓枠の補強も兼ねた美しい化粧漆喰で装飾されています。