解説
樹脂が血のように赤いリュウケツジュ(竜血樹)=写真=には、「竜と象が戦った後の血だまりから生えた」という伝説があります。その樹脂は止血や消炎のための薬品として重宝されただけでなく、染料として古代から珍重されました。古代ギリシャ人の書物にもソコトラ島の特産品として「竜血」の記述が残る、ソコトラ諸島の固有種です。
アフリカ東端の「アフリカの角」と呼ばれる半島とアラビア半島の中間に位置するソコトラ諸島は、大陸移動の際にゴンドワナ大陸から分離され、それ以降外界と隔絶されていたため、動植物の固有種の割合が際立っています。近年は温暖化により諸島の乾燥化が進み、固有種の半数以上が絶滅の危機にあると指摘されています。