解説
ロシアの首都モスクワの歴史は、1156年に木造の要塞が作られたことから始まります。この要塞が、現在、大統領府があるクレムリン(ロシア語で「要塞」の意味)宮殿になりました。クレムリン宮殿の前には聖ワシリイ大聖堂や大統領官邸のある「赤の広場=写真=」があります。モスクワは1812年にナポレオン率いるフランス軍に攻め込まれ、市内は火事で全焼してしまいますが、ロシアの寒さに弱ったナポレオン軍を撃退し、ロシア軍は勝利を収めました。
ロシアの作曲家ピョートル・チャイコフスキーは、このときの戦いを序曲「1812年」という曲で表現しました。この曲の中で、ロシア軍の行進がティンパニや小太鼓で表現されるほか、フランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」やロシア帝国の国歌なども登場し、最後には大砲の音が鳴り響きます。敗走するフランス軍まで音楽で表現され、まるで物語のようです。大砲の音は、大太鼓で演奏されることが多いですが、本物の大砲が使われることもあるそうです。