――世界遺産スペシャリストを目指した理由を教えてください。
添乗員歴27年です。「何かもっと特別なものを感じながら添乗をしたい」と刺激を求めていたとき、まさに運命のように世界遺産検定と出合いました。さっそく「1-Dayガイダンス」に参加したのですが、世界遺産はとても価値があるもの、自分が求めていたものはこれだ!と確信しましたね。
特に感動したのはユネスコ憲章の前文にある「戦争は人の心の中に生まれるものだから、人の心の中にこそ、平和のとりでを築かなければならない」という理念です。これを知ったとき、光り輝く911の世界遺産の全貌を知りたい、そしてこの理念を1人でも多くの人に伝えたいと強く思い、スペシャリストを目指しました。
先日はスペシャリストとしてイタリアをテーマに、第1回目の世界遺産セミナーを開催しました。セミナーで心がけたのは、難しい業界用語は使わず誰でも分かる言葉で話すこと、身近な話題で楽しく進行することの2つです。誰でも知ってる「トレビの泉」や「コロッセウム」というテーマで、ご参加の皆様にわかりやすくパワーポイントを使いながらレクチャーしました。
イタリアは世界一世界遺産が多い国であることはもちろん、今年は統一150周年というまさに「旬の国」です。ローマ、フィレンツェ、ヴェニス……、どの都市もそれぞれが共和国だった時代の特徴を顕著に残していて、各都市を回るだけで何ヶ国も旅したような気持ちになります。そんな魅力をたっぷり紹介し、最後に「世界遺産は不動産です。旅をしなければ見ることができません。ぜひとも本物を教科書にして学んでいきましょう」と参加者を旅にいざないました。
――世界遺産について語るとき、何か特別な切り口はありますか?
「ローマの歴史地区」を語るとき身近な話として欠かせないのが『ローマの休日』であるように、世界遺産が出てくる映画って結構あるんですよ。同じくイタリアにある「アマルフィ海岸」も織田裕二さん主演の『アマルフィ 女神の報酬』で、ずいぶん日本人に知られるようになりました。若い人に人気の『のだめカンタービレ』の『最終楽章』は、主人公の「のだめ」と千秋とがパリで暮らし、音楽を学ぶ設定です。前編はフランス、オーストリア、チェコ、スロバキアで撮影され、「パリのセーヌ河岸」や「ウィーンの歴史地区」などが登場します。後編で「のだめ」がショパンのピアノ協奏曲を演奏する場面は、実はチェコの「プラハの歴史地区」にあるスメタナホールで撮影されているんです。
また実在の人物の足跡をたどるのも面白いと思います。ミュージカル「エリザベート」は、実在するオーストリアの美貌の王妃エリザベートの波乱万丈の生涯を描いたもの。彼女の足跡をたどると、戴冠式を行ったブダペストのマーチャーシュ教会、舞踏会をしたシェーンブルン宮殿、夫のフランツ・ヨーゼフ皇帝と共に訪れたブダペストのオペラ座など、いくつもの世界遺産がでてきます。旅から旅へと渡り歩いた女性の足跡が、そのまま世界遺産になっているのです。
マリー・アントワネットの生涯も興味深いです。14歳でウィーンから嫁ぐ際は、フランス国境のストラスブールでフランスの服に着替え、ランス、ヴェルサイユ、パリへと世界遺産の街を移動しています。一見なんの関連もないような街が世界遺産つながりで、真珠のネックレスのように連なっているのが分かります。映画や歴史上の人物を切り口に展開すると、世界遺産が一般の人たちにももっと浸透するのではないかと思っています。
――世界遺産を巡るおすすめのプランはありますか?
『のだめ…』に出てくるプラハ、ウィーン、ブダペストはどこも街が世界遺産に指定されています。これらの地域はハプスブルク家による文化交流があり、13世紀~19世紀の複合建築が今なお残っている点も共通しています。特に「百の塔の町」と言われるプラハは戦争による被害が奇跡的なくらい少なく、中世の面影がそのままに残っています。ヴルタヴァ川(モルダウ川)の水面に映る歴史的な建物の数々やプラハ城は本当に綺麗です。「世界一美しい村」と言われるチェコの「チェスキー・クルムロフ」も加え、オリジナルな中世が残っている中央ヨーロッパを巡る旅をおすすめしたいと思います。花と新緑が美しい今の時期から、紅葉の中に世界遺産が点在する10月上旬までがベストシーズンです。
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